「なし崩し」の誤用『なかった事にする』ではない

意味【な行】

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「なし崩し」の意味

「なし崩し」の正しい意味

○ 1.借金を少しずつ返済していくこと。

○ 2.物事を少しずつ済ませてゆくこと。

「なし崩し」の誤った意味

× なかったことにすること。駄目にすること。

「なし崩し」の正しい意味は、「借金を少しずつ返済していくこと」「物事を少しずつ片付けて行くこと」です。

「なし崩し」を「なかったことにすること」という意味で使うのは誤用なので注意しましょう。

「なし崩し」は「済し崩し」とも書きます。

「なし崩し」を「うやむやにする」「曖昧にする」という意味で使うのは誤用と主張する人もいますが、『デジタル大辞泉』などの辞書は意味を「物事を少しずつ変化させ、うやむやにしてしまうこと」と記載しています。また、『三省堂国語辞典』は、誤用とされていた「ずるずると時間をかけてだめにすること」という意味を記載しており、辞書によって意味の捉え方に違いがあります。

「なし崩し」を使った例文

正しい意味「借金を少しずつ返済していくこと」の例文

○ 借金をなし崩しにする。

○ 借りたお金をなし崩しに返す。

正しい意味「物事を少しずつ済ませてゆくこと」の例文

○ 当初の計画をなし崩しに消化していく。

○ 散らかった物置をなし崩しに掃除する。

誤った意味「なかったことにすること。駄目にすること」の例文

× なし崩し的に掃除当番をする者はいなくなった。

× 明日、映画にいく予定がなし崩しになった。

「なし崩し」の類義語

□ 少しずつ…僅かな量を複数回にわたって繰り返し進める

□ 徐々に…少しずつ進行する

国語に関する世論調査

文化庁が平成29年度に行った「国語に関する世論調査」では、「なし崩し」の本来の意味を選んだ人が19.5%だったのに対し、誤った意味を選んだ人が65.6%という結果がとなりました。

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