文化庁が平成7年から毎年行っている「国語に関する世論調査」で、意味の誤用の割合が正用の割合を上回った言葉をまとめてみました。
最新調査の結果のみを載せています。
雨模様(あまもよう・あめもよう)
○雨が降り出しそうな空の様子。
×雨が降っている空の様子・雨が降ったりやんだりする空の様子。
※×の意味を正用とする辞書も一部あります
平成22年度の調査では、正しい使い方をしている人の割合が43.3%、誤った使い方をしている人の割合が47.5%でした。
穿った見方(うがったみかた)
○ 物事の本質を的確に捉えた見方。
×疑った見方。ひねくれた見方。
平成23年度の調査では、正しい使い方をしている人の割合が26.4%、誤った使い方をしている人の割合が48.2%でした。
御の字(おんのじ)
○極めて結構なこと。とても有り難いこと。
×一応納得してもいい状態のこと。
平成30年度の調査では、正しい使い方をしている人の割合が36.6%、誤った使い方をしている人の割合が49.9%でした。
確信犯(かくしんはん)
○政治・道徳・宗教的に正しいという確信を持って行う犯罪。また、その犯人。
×悪事だとわかった上で行われる、信念のない犯罪・悪さを行う人。
※元々は法律に関する学術用語で、信念のない犯罪者・犯罪ではない悪さをする人には使われていませんでした。しかし誤用が定着した事で、通俗的な×の意味を記載する辞書が増えてきています。
平成27年度の調査では、正しい使い方をしている人の割合が17.0%、誤った使い方をしている人の割合が69.4%でした。
割愛(かつあい)
○惜しみながら省略する。惜しみながら手放す。愛着の思いを断ち切る。
×重要でないものを省略する。重要でないものを手放す。
平成23年度の調査では、正しい使い方をしている人の割合が17.6%、誤った使い方をしている人の割合が65.1%でした。
枯れ木も山のにぎわい(かれきもやまのにぎわい)
○つまらないものでも無いよりまし。
×人を多く集めれば賑やかになる。
平成26年度の調査では、正しい使い方をしている人の割合が37.6%、誤った使い方をしている人の割合が47.2%でした。
気が置けない(きがおけない)
○気配りや遠慮をしなくていい。
×気配りや遠慮をする必要がある。
平成24年度の調査では、正しい使い方をしている人の割合が42.7%、誤った使い方をしている人の割合が47.6%でした。
「気が置けない」の誤用『遠慮する必要があるという意味ではない』
檄を飛ばす(げきをとばす)
○同意を求める。
×頑張るよう活気づける。
※近年、×の意味を載せる辞書が増えてきています。
平成29年度の調査では、正しい使い方をしている人の割合が22.1%、誤った使い方をしている人の割合が67.4%でした。
号泣(ごうきゅう)
○大きな声で泣く。
×激しく泣く。
平成29年度の調査では、正しい使い方をしている人の割合が34.1%、誤った使い方をしている人の割合が48.3%でした。
姑息(こそく)
○間に合わせに物事をする。その場しのぎ。
×卑怯。
平成22年度の調査では、正しい使い方をしている人の割合が15.0%、誤った使い方をしている人の割合が70.9%でした。
触り(さわり)
○一番の聞かせどころ・見どころ。最も印象的な部分。要点。触れること。
×冒頭。イントロ。
平成28年度の調査では、正しい使い方をしている人の割合が36.1%、誤った使い方をしている人の割合が53.3%でした。
敷居が高い(しきいがたかい) ※【誤用とは言い切れない語】
○不義理をしたので相手の家に行きにくい。
△上品すぎて、家やお店に入りにくい。
×身分・能力にふさわしくない
※一部の辞書は、△の意味も正用としています。
平成20年度の調査では、正しい使い方をしている人の割合が42.1%、誤った使い方をしている人の割合が45.6%でした。
失笑(しっしょう)
○思わず吹き出してしまう。
×笑えないほど呆れてしまう。
平成23年度の調査では、正しい使い方をしている人の割合が27.7%、誤った使い方をしている人の割合が60.4%でした。
砂を噛むよう(すなをかむよう)
○無味乾燥でつまらない。
×悔しくてたまらない。
平成30年度の調査では、正しい使い方をしている人の割合が32.1%、誤った使い方をしている人の割合が56.9%でした。
世間擦れ(せけんずれ)
○社会で揉まれた結果、世間の表裏に通じて悪賢くなる。
×世間の常識から逸脱している。世間知らず。独自の発想を持っている。
平成25年度の調査では、正しい使い方をしている人の割合が35.6%、誤った使い方をしている人の割合が55.2%でした。
ぞっとしない
○あまり面白くない。あまり感心しない。
×恐ろしくない
平成28年度の調査では、正しい使い方をしている人の割合が22.8%、誤った使い方をしている人の割合が56.1%でした。
手を拱く(てをこまねく・てをこまぬく)
○何もせずに傍観する。腕組みをする。
×準備をして待ちかまえる。
※「何か出来るのに傍観している場合」と「為すすべもなくただ見ているしかない場合」の両方に使えます
平成20年度の調査では、正しい使い方をしている人の割合が40.1%、誤った使い方をしている人の割合が45.6%でした。
時を分かたず(ときをわかたず)
○いつも。
×すぐに。
平成20年度の調査では、正しい使い方をしている人の割合が14.1%、誤った使い方をしている人の割合が66.8%でした。
流れに棹さす(ながれにさおさす)
○傾向に乗じて、勢いをつける。
×傾向に逆らう。
※気弱かどうかや、社交性は関係ない。
平成24年度の調査では、正しい使い方をしている人の割合が23.4%、誤った使い方をしている人の割合が59.4%でした。
なし崩し(なしくずし)
○物事を少しずつ済ませてゆくこと。
×いい加減にやる。曖昧にする。
平成29年度の調査では、正しい使い方をしている人の割合が19.6%、誤った使い方をしている人の割合が65.6%でした。
にやける
○男性が女性のように、色っぽい仕草をする。
×薄笑いをする。
平成23年度の調査では、正しい使い方をしている人の割合が14.7%、誤った使い方をしている人の割合が76.5%でした。
破天荒(はてんこう)
○誰も成し得なかったことを初めてする。
×型破りで大胆な様子。
平成20年度の調査では、正しい使い方をしている人の割合が16.9%、誤った使い方をしている人の割合が64.2%でした。
憮然(ぶぜん) ※【誤用とは言い切れない語】
○失望したり落胆したりしてぼんやりするさま。意外なことに驚いて呆然とするさま。
△腹を立てているさま。不満なさま。不機嫌なさま。
※一部の辞書は「腹を立てているさま・不満なさま・不機嫌なさま」の意味を載せています。
平成30年度の調査では、正しい使い方をしている人の割合が28.1%、△の使い方をしている人の割合が56.1%でした。
噴飯(ふんぱん)
○あまりのおかしさに、思わず笑ってしまう。
×腹立たしい。
平成24年度の調査では、正しい使い方をしている人の割合が19.7%、誤った使い方をしている人の割合が49.0%でした。
まんじりともしない
○少しも眠れない。
×少しも動かない。
※近年、×の意味を載せる辞書が出てきている。
平成25年度の調査では、正しい使い方をしている人の割合が28.7%、誤った使い方をしている人の割合が51.5%でした。
やおら
○ゆっくりと事を行うさま。
×急に。唐突に。
平成18年度の調査では、正しい使い方をしている人の割合が40.5%、誤った使い方をしている人の割合が43.7%でした。
役不足(やくぶそく)
○本人の力量に対して、与えられた役目が軽いこと。
×与えられた役目を全うする力量がないこと。
※×の意味の言葉は、「力不足」です。
平成24年度の調査では、正しい使い方をしている人の割合が41.6%、誤った使い方をしている人の割合が51.0%でした。
やぶさかで(は)ない
○躊躇わずに~する。~する努力を惜しまない。喜んで~する。
×仕方がないから~する。~したくない訳ではない。~してみてもいい。
※「~にやぶさかで(は)ない」の形で使われることが多いです
平成25年度の調査では、正しい使い方をしている人の割合が33.8%、誤った使い方をしている人の割合が43.7%でした。
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