「流れに棹さす」の誤用『流れに逆らう』という意味ではない

意味【な行】

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「流れに棹さす(ながれにさおさす)」の意味・誤用・使い方

「流れに棹さす」の正しい意味

○ 流れに乗って、物事が順調に進行する。流れに乗って、勢いをつける。

「流れに棹さす」の誤った意味

× 流れに逆らう。勢いを失わせる。

流れに棹さす(ながれにさおさす)」の正しい意味は「流れに乗って、物事が順調に進行する」ですから、「流れに逆らう」という意味で使うことはできません。

棹とは、舟をこぐための長い棒のことです。

昔は、流れに乗っている船の船頭が、水底に棹をつきさして更に勢いをつける光景をよく見かけました。それを「流れに乗って、物事が順調に進行する」という意味で例えた語が「流れに棹さす」なのです。

しかし現在は、船頭が棹を操る光景を目にすることが少なくなったため、何に例えているのか分からない人が増え、誤用が広がってしまったのかもしれません。 また、「水をさす(上手くいっている事や間柄をわきから邪魔する)」と混同している人も多いと考えられます。

文化庁が平成24年度に行った「国語に関する世論調査」では正しい意味を選んだ人の割合が23.4%誤った意味を選んだ人の割合が59.4%でした。

平成14年度の正答率は12.4%で平成18年度は17.5%ですから、正しい使い方をする人は微増しています。誤った使い方をする人も微減していますが、それでも誤用する人の方が圧倒的な多数派です。状況や相手によっては類義語を用いた方がいいでしょう。

「流れに棹さす」を使った例文

○ プロ野球の試合で地元チームが優勢だったが、流れに棹さすようにルーキがソロホームランを放った。

○ 元々、健康食品の売り上げが堅調だったウチの会社は、健康ブームの流れに棹さして更に業績を伸ばした。

×皆が奮起しようとしている時に、流れに棹さすような発言はよしてくれよ。

×オリンピック開催で色んなスポーツが盛り上がっていたのに、コロナ禍が流れに棹さしてしまったな。

「流れに棹さす」の類義語

◇ 順風満帆…物事が順調に運ぶこと。

◇ とんとん拍子…物事が順調に進むこと。

◇ 得手に帆を揚げる…得意なことを発揮できるよい機会が到来し、調子に乗ってすること。

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