「悲喜こもごも」の誤用『悲しみと喜びが交じる』ではない

意味【は行】

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「悲喜交交(ひきこもごも)」の意味・使い方

○ 悲しみと喜びを代わる代わる味わう。悲しみと喜びを同時に味わう。

× 悲しむ人と喜ぶ人が入り乱れる・入り交じる。

「悲喜交交(ひきこもごも)」の意味は、「悲しみと喜びを代わる代わる味わう。悲しみと喜びを同時に味わう」です。
「悲喜」は文字通り「悲しみと喜び」を意味し、「こもごも」は「多くのものが入り交じっているさま・次々に現れるさま」を意味します。

「悲喜こもごも」は一人の心境を表す言葉で、複数の人の心情を表す使い方は誤用になります。
つまり、前者の「一人の人間に喜びと悲しみが訪れる」という用法が正しく、後者の「複数の人の悲しみや喜びが入り交じっている」という用法が誤りです。

「悲喜こもごも」の例文

○ 転職をして職場の人間関係は良くなったが、収入が減ったので悲喜交々だ。

○ 部活をした3年間で、私は悲喜交々の経験をさせてもらった。

× 大学の合格発表がされるこの時期は、全国で悲喜こもごもの声で溢れ返る。

× 席替えが終わった教室では、悲喜交々の様子が窺えた。

複数の人間の心境を表す言葉・言い回し

複数の人間の心境を表す言葉

「悲しむ人と喜ぶ人が入り乱れる・入り交じった」

「明暗を分ける」

言い回し

「悲喜交々至る」

「悲喜交々だ」

「悲喜こもごもの~」

辞書の記載・マスコミの方針

「ことばのハンドブック 第2版」によると、複数の人物の心境を表すときに「悲喜こもごも」を用いる人が増えたため、NHKではこの言葉を出来るだけ使わないようにしているそうです。

また、三省堂国語辞典・第7版は、これまで誤用とされてきた意味を俗語として記載しています。

語源

「交々(こもごも)」は漢文で古くから使われ、昔は濁音ではない「こもこも」という読み方でした。「交々(こもごも)」の「こ」の語源は「これ。ここ」という意味の「此」で、「此も此も」からきたと言われています。

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