「天地無用」の誤用『上下を気にしなくていい』ではない

意味【た行】

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「天地無用(てんちむよう)」の意味・誤用・使い方

「天地無用」の正しい意味

○ 破損の恐れがあるので、荷物を上下を逆さまにしてはいけない。

「天地無用」の誤った意味

×上下を気にしないでいい。

 「天地無用(てんちむよう)」の正しい意味は「上下を逆さまにしてはいけない」ですから、「上下を気にしないでいい」という意味で用いるのは誤っています。

 「天地」の意味は「荷物の上下」、「無用」は「してはいけない」という意味です。「無用」に「してはいけない」という意味があることを知らない人が増えたのが、誤用が広がった理由の一つと考えられます。

 「無用」には他にも「いらない」「用がない」などの意味があります。この事から「上下の心配はいらない」「上下に用がない=上下は関係ない」などと誤った解釈をする人が増えたのかもしれません。

 また、「天地無用」は元々運送業などで使われていた業界用語のようで、配達物の梱包の外側などに書かれていました。昔は、「天地入替無用」「天地を逆さにすること無用」などと書かれ、「入替」「逆さにすること」などの言葉が併せて使われていました。しかし、現在はそういった言葉が省略されてしまったため、字面から意味が読み取り難くなっています。

 ちなみに、郵便局では「天地無用」と記されたシールの取り扱いが廃止されています(発送する人がそういうシールを貼ることは可能)。

 平成25年度に文化庁が発表した「国語に関する世論調査」では本来の意味で捉えている人が55.5%誤った意味で捉えている人が29.2%という結果となっています。意味が分からなかった人も10%弱いるので、正確に意味を理解していない人が40%程度いることになります。

「天地無用」を使った例文

○天地無用の配達物なので慎重に扱ってください。

○ 傷がついたら大変なので天地無用で配送してもらった。

×天地無用の配達物ですから適当に積んでもらっていいですよ。

×箱に天地無用と書いてあるから逆さまにしても問題ないな。

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