「天に唾する」の誤用『偉い人を冒涜する』ではない

意味【た行】

スポンサーリンク

「天に唾する(てんにつばする)」の意味・誤用

「天に唾する」の正しい意味

○ 人に害を与えようとして、かえって自分が酷い目に遭うこと。

「天に唾する」の誤った意味

× 自分より偉い人を冒涜すること。

「天に唾する(てんにつばする)」の正しい意味は「人に害を与えようとして、かえって自分が酷い目に遭うこと」で、「自分より偉い人を冒涜すること」という意味ではありません。

「天に唾する」は、悪事を働こうとする人を戒めたい場合や批判したい場合によく使われます。

この言葉は、中国で最初に作られた仏教経典とされる「四十二章経」の記述が由来になります(実際に初かどうかは諸説ある)。その記述は「悪人が賢者を害するのは、空に向かって唾を吐くのと変わらない。空に唾を吐いても空を汚せず、それが下に落ちてきて自分の顔を汚すだけだ」というものです。

上記のように単純なことを例えた言葉なのですが、「天(=空)」を偉い人や上位の存在だと誤解する人が増えたため誤用が広がってしまったようです。

文化庁が毎年行っている「国語に関する世論調査(平成26年度)」では、正しい意味を選んだ人の割合が63.5%誤った意味を選んだ人の割合が22.0%という結果が出ました。正答率は高いですが、30代以下の30%程度が誤った意味で捉えているようなので、今後誤用が浸透していくと考えられます。

「天に唾する」の同義語

◻天に向かって唾を吐く(てんにむかってつばきをはく)

◻天を仰いで唾きする(てんをあおいでつばきする)

◻寝て吐く唾(ねてはくつば)

意味…人に害を与えようとして、かえって自分が酷い目に遭うこと。

「天に唾する」の類義語

◻自業自得(じごうじとく)…自分が行った善悪の行為によって、その報いを自分自身が受けること。

◻悪因悪果(あくいんあっか)…悪事が原因となって、必ず悪い結果が生じること。

「天に唾する」を使った例文

○ 上司は天に唾するような行為ばかりしていたが、報いを受けたのか身内の不幸が重なって起きたよ。

○ あの人は意地悪をするのが趣味になってるから、最後は天に唾する結果となるだろう。

× 先生に向かって横柄な態度を取るとは、天に唾するような人ですね。

× 天に唾するような事ばかりしていると、人事評価を下げられるぞ。

こちらの記事も宜しくお願いします。

「浮き足立つ」の誤用『嬉しくて落ち着かない様』ではない
「浮き足立つ」の意味は「ウキウキして落ち着かない様子」ではなく、「恐怖や不安で落ち着きを失う」です。この記事では、誤用・意味・例文・類語・由来の解説をしています。
■言葉カテゴリーの人気記事
誤用される言葉・誤用が定着した日本語一覧【例・意味の変化・割合】
文化庁の世論調査を中心に、有名な言葉の誤用・誤用が定着した日本語(誤用率の方が高いもの)の約130例をまとめました。
有名な言い方の誤用40【定着した言葉・文化庁が調査した日本語】
よく読み間違えられる漢字130選+誤読とは言い切れない読み
「中抜き」の誤用『中間業者のピンハネという意味ではない』
■メインカテゴリー
意味の誤用
「意味の誤用」の記事一覧です。
言い方の誤用
「言い方の誤用」の記事一覧です。
意味の違い
「意味の違い」の記事一覧です。
「新語」カテゴリー
タイトルとURLをコピーしました