恣意(しい)の本来の意味・漢字の意味
恣意的の意味
「気ままなさま。自分勝手なさま。論理的な必然性がなく、勝手きままに振る舞うさま」
「恣」の字は訓読で「ほしいまま」と読み、「気ままなさま、自分勝手なさま」という意味です。「意」の字は訓読で「こころ」と読み、「気持ち」「考え」という意味です。
ですから「恣意(しい)」の本来の意味は、「気ままな考え・気持ち、自分勝手な考え・気持ち」になります。論理的な必然性がなく、自由に物事を判断したり、思いのままに行動したりすることです。
「恣意的」に「偶然的・ランダム」の意味が加わった経緯
ソシュールというスイスの言語学者が「arbitraire」の訳語として「恣意的」を選んだため、「偶然的・ランダム」といった意味で用いられるようになった、と言われています。この意味は、本来の意味にはなかったものです。
「意図的に近い意味の『恣意的』」は、誤用ではない
「恣意的には『偶然的・ランダム』という意味合いがあるので、恣意的を『意図的』に近い意味で使うのは誤用だ」と主張するもいますが、これは俗説です。
恣意的の意味の「気ままなさま。自分勝手なさま。論理的な必然性がなく、勝手きままに振る舞うさま」には、意図した行動・判断も含まれます。
三省堂国語辞典の編集委員を務める飯間さんは、下記のように説明しています。
・飯間さんのツイート引用
この場合(『意図的』に近い意味の用法「恣意的に切り取る」「恣意的に解釈する」)は、ある人が、常識やルール、法律といったものに従わず、自分の気分に任せて物事を切り取ったり、解決したりしているのです。「勝手きまま」という点ではA(偶然的・ランダムという意味の恣意的)とまったく同じです。
【悲報】「恣意的」までが誤用とされはじめたwwwwww
――と、タイトルをつけたいような現象です。「勝手気ままに」という意味の「恣意的」ということば。その一用法を誤用とする意見が広まってきました。でも、これは俗説です。俗説でことばが殺されることがないよう、どうか守ってください。 pic.twitter.com/ohrzuMWnC7— 飯間浩明 (@IIMA_Hiroaki) November 18, 2016
前後の文章的意味が違うだけで、「偶然的・ランダムという意味の『恣意的』」と、「意図的に近い意味の『恣意的』」の基本的な意味(勝手気まま)は共通しています。
要は、「恣意的(勝手気まま)」の使い方が2通りあるだけの事です。
「恣意的」の例文
面接官は恣意的な判断を避けるために、ありとあらゆる努力をすべきだ。
あのアンケートの設問では、恣意的な誘導結果となってしまうだろう。
就業規則の恣意的運用が懸念される。
「恣意的」の類語・対義語
類語
・任意…心のままに任せること。
・随意…束縛や制限がないこと。思いのままなこと。
・気まま勝手…気持ちの向くままに行動すること。
対義語
・一貫…同一の主義や方法で、始めから終わりまで突き通すこと。
・規則的…一定の決まりに従っているさま。
・機械的…自分の意志を働かせないで動作を行うさま。
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