「割愛」の誤用『重要ではないものを省略する』ではない

意味【か行】

スポンサーリンク

割愛(かつあい)の本来の意味・誤った意味

○ 本来の意味…惜しみながら省略する。惜しみながら手放す。愛着の思いを断ち切る

× 誤った意味…重要ではないものを省略する。重要ではないものを手放す。

「大切ではないので省略する。大切ではないので手放す」という意味での使い方は誤用にあたります。割愛の本来の意味は、「大切だが仕方なく省略する。大切だが仕方なく手放す」というものです。

「割愛」は本来の意味を知っているかいないかで、聞き手の捉え方が大きく違ってくる言葉です。言い方によっては、話し手が「○○を惜しみながら省略した」と伝えたつもりでも、「○○を不必要だから省略した」と誤解されてしまうかもしれません。
トラブルを避けるために前後の言葉をよく選ぶか、別の言葉に言い換えるようにしましょう。

割愛の例文・使い方

○ 残念ながら、時間の都合で割愛します。

○ 惜しみながらも敬称を割愛した。

× 「どうでもいい説明は割愛しろよ!!」と上司が怒鳴りつけた。

× その部分には大した価値がないから、割愛しちゃっていいよ。

割愛の語源・由来

元々割愛(かつあい)は、「出家するために、家族や故郷への愛着の気持ちを断ち切る」という意味の仏教用語で、それから「惜しみながら省略する・惜しみながら手放す」という意味が生まれました。
「割」は分ける・きり裂くという意味の字です。きり裂く(割)愛着の心(愛)で、割愛になる訳ですね。

世論調査

平成23年度の「国語に関する世論調査」では、割愛を本来の意味で使った人が17.6%だったのに対し、誤った意味で使った人が65.1%もいました。
ここまで誤用する人が増えると、「惜しみながら省略する」という意味で使うのを躊躇しますね。
重要な場面では、他の言葉を使った方が無難だと思います。

こちらの記事も宜しくお願いします。

「浮き足立つ」の誤用『嬉しくて落ち着かない様』ではない
「浮き足立つ」の意味は「ウキウキして落ち着かない様子」ではなく、「恐怖や不安で落ち着きを失う」です。この記事では、誤用・意味・例文・類語・由来の解説をしています。
■言葉カテゴリーの人気記事
誤用される言葉・誤用が定着した日本語一覧【例・意味の変化・割合】
文化庁の世論調査を中心に、有名な言葉の誤用・誤用が定着した日本語(誤用率の方が高いもの)の約130例をまとめました。
有名な言い方の誤用40【定着した言葉・文化庁が調査した日本語】
よく読み間違えられる漢字130選+誤読とは言い切れない読み
「中抜き」の誤用『中間業者のピンハネという意味ではない』
■メインカテゴリー
意味の誤用
「意味の誤用」の記事一覧です。
言い方の誤用
「言い方の誤用」の記事一覧です。
意味の違い
「意味の違い」の記事一覧です。
「新語」カテゴリー
タイトルとURLをコピーしました