「役不足」の誤用『力不足』という意味ではない』

意味【や行】

スポンサーリンク

「役不足(やくぶそく)」の意味・誤用・使い方

「役不足」の正しい意味

○ 力量に対して、与えられた役目が軽すぎること。

「役不足」の間違った意味

×力量に対して、与えられた役目が重すぎること。力不足。

「役不足(やくぶそく)」の正しい意味は「力量に対して、与えられた役目が軽すぎること」なので、「力量に対して、与えられた役目が重すぎること」という意味で使うのは誤用です。この語は自分の力量に対して役目が軽すぎる時、役目が軽すぎることに不満を持つ時、相手を立てる時によく使われます。

「あなたには役不足の仕事ですね」と言った場合は、「あなたの力量に対して、役目が軽すぎる」と相手を褒める意味になります。ですが、「私には役不足の仕事ですが、宜しくお願いします」と謙遜して言った場合は、「私の力量に対して、役目が軽すぎる」と不平を述べている意味になってしまうので注意してください。

上記の誤った意味を表したい場合には「力不足」「荷が重い」「未熟」などを使いましょう。

「役不足」は能力の評価に関する重要な場面で用いられることが多く、誤用の割合が50%を超える語です。ですから、正しい意味で用いても相手が意味を知らない場合は貶されていると勘違いするかもしれません。

そういった誤解を避けるために、きちんと文脈を捉えて相手がどちらの意味で用いているかを判断するか、別の言葉に言い換えるかして誤解を招かないようにして下さい。

「役不足」はもともと歌舞伎や演劇などで使われていた言葉で、「役者が与えられた役に不満を感じること」という意味もあります。

また、誤った意味「力量に対して、与えられた役目が重すぎること」を持つ言葉が「役者不足」だと思っている人がいますが、「役者不足」は辞書に記載されていない造語です。

平成24年度に文化庁が行った「国語に関する世論調査」では、正しい意味を選んだ人の割合が41.6%誤った意味を選んだ人の割合が51.0%という結果が出ています。

「役不足」の誤った意味を持つ語

◇ 力不足…役目を果たす実力がないこと。

◇ 荷が重い…責任・負担が大き過ぎる。

◇ 未熟…修練がまだ不十分なこと。

「役不足」を使った例文

○雑用みたいな仕事内容は、いくらなんでも役不足だろうと思った。

○役不足で物足りない仕事かもしれませんが宜しくお願いします。

×私では役不足とは思いますが、精一杯つとめようと思います。

×お前では役不足だと言われたので、何日か落ち込んだよ。

こちらの記事も宜しくお願いします。

「浮き足立つ」の誤用『嬉しくて落ち着かない様』ではない
「浮き足立つ」の意味は「ウキウキして落ち着かない様子」ではなく、「恐怖や不安で落ち着きを失う」です。この記事では、誤用・意味・例文・類語・由来の解説をしています。
■言葉カテゴリーの人気記事
誤用される言葉・誤用が定着した日本語一覧【例・意味の変化・割合】
文化庁の世論調査を中心に、有名な言葉の誤用・誤用が定着した日本語(誤用率の方が高いもの)の約130例をまとめました。
有名な言い方の誤用40【定着した言葉・文化庁が調査した日本語】
よく読み間違えられる漢字130選+誤読とは言い切れない読み
「中抜き」の誤用『中間業者のピンハネという意味ではない』
■メインカテゴリー
意味の誤用
「意味の誤用」の記事一覧です。
言い方の誤用
「言い方の誤用」の記事一覧です。
意味の違い
「意味の違い」の記事一覧です。
「新語」カテゴリー
タイトルとURLをコピーしました