「他力本願(たりきほんがん)」の正用・誤用・意味
○ 自己の修行の功徳によって悟りを得るのではなく、阿弥陀如来の本願によって救済される
× 自分は努力せずに、ひたすら他人の力をあてにする。人任せ
×の意味の言葉は、人任せ・頼りきり・任せきり
「他力本願」を使った例文
「他力本願」とは?
他力本願は、「阿弥陀如来が衆生を救済するための働き」のみを意味する言葉です。しかし一般社会では、他人の力をあてにする人・人の失敗に期待する時・集団に頼った体制を非難する時に、よく誤って使われていますね。
この言葉は仏教用語ですから正しい意味を理解すれば、日常的な会話で使う機会はほぼなくなると思います。
「他力本願」を誤用する人の多さ
小学館の大辞泉編集部が発表した「間違った意味で使われる言葉ランキング(2013年)」では、実に68.8%の人が×の意味で使っていたといいます。本来の意味で使っていた人は16.8%にとどまっており、多くの辞書にも「誤用が定着しつつある」と書かれています。
「他力本願」の誤用への抗議
また、誤用した公人や企業が、仏教界から厳しい抗議を受ける事があります。
1968年には「他国の誠意と信義に信頼している憲法は他力本願だ」と発言した倉石忠雄農水大臣が、1981年には「我が国の防衛は他力本願ではだめ」と発言した鈴木善幸首相が、浄土真宗から抗議を受けています。
2002年にオリンパスが「他力本願から抜け出そう」という自社広告を出しました。この広告には他に7つの悪い例が挙げられており、他力本願が「その場しのぎ」「三日坊主」などと同列に並べられていたため、浄土真宗本願寺派と真宗教団連合が抗議文を出しています。
浄土宗や浄土真宗にとって非常に大切な言葉ですから、公の場で使う場合は注意しましょう。
ポイント
・他力本願の本来の意味は、「自己の修行の功徳によって悟りを得るのではなく、阿弥陀如来の本願によって救済される」
・「自分は努力せずに、ひたすら他人の力をあてにする」という意味で使うのは誤用
・浄土宗や浄土真宗にとって大事な言葉なので、公の場で使う時は注意が必要
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